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セルロースナノファイバー

北越グループのセルロースナノファイバー

セルロースナノファイバー(CNF)を多孔質材料とする当社のオリジナル技術を生かし、エアフィルタ濾材をはじめとする高機能材料への応用が期待されています。
一方、CNFで強化されたオールセルロース材料 “バルカナイズドファイバー”は、衝撃強度、電気絶縁性、耐熱性、耐油性に優れておりながら生分解性も有する異次元の紙素材です。さらに人との親和性が高いという感性価値にも優れ、多様なポテンシャルを秘めたセルロース素材です。
北越グループはセルロース材料の可能性をますます広げていきます。

パルプ繊維1本の中のCNF

紙の原料となるパルプ繊維(木材由来セルロース繊維)、これを解きほぐすとCNFが生まれます。下記動画はパルプ繊維1本をズームアップしていきます。

超高性能エアフィルタ濾材

当社はガラス繊維の隙間にCNFをクモの巣状に張りめぐらすことに成功、CNFを用いて高性能エアフィルタ濾材ができることを世界で初めて証明しました。
CNFの使用量はガラス繊維に対して0.1%程度。極少量でフィルタ性能を大きく改善して、従来にない省エネ効果や超微細粒子の捕集が期待できます。

写真:CNF顕微鏡写真

●CNFを用いたエアフィルタ濾材に関する内容は、2016年の「第33回空気清浄とコンタミネーションコントロール研究大会」において「研究大会会長賞」を、また2017年には「紙パルプ技術協会賞」を受賞しました。

関連文献

  1. Nemoto, J., Saito, T., Isogai, A. “Simple freeze-drying procedure for producing nanocellulose aerogel-containing, high-performance air filters” ACS applied materials & interfaces, 7, 19809 (2015)
  2. 根本純司, 楚山智彦, 齋藤継之, 磯貝明:ナノセルロースによるエアフィルタの高性能化, 紙パ技協誌, 70(10), 1065 (2016)

低密度・高断熱の多孔質材料

当社は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の公募課題である「低炭素社会の実現」において、東京大学を研究代表とする共同研究に2020年度より参画しました。「CNFの精密構造解析と断熱性多孔体の形成」を担当するグループの一員として、低炭素社会の実現に向けた革新的技術開発の一翼を担い、透明性と断熱性を有するCNF多孔体(クライオゲル)の製造に関する基礎技術を共同開発しました。

写真:CNF多孔体

高強度で生分解性も有するオールセルロース材料

CNFで強化されたオールセルロース材料 “バルカナイズドファイバー”は、衝撃強度、電気絶縁性、耐熱性、耐油性に優れておりながら生分解性も有する異次元の紙素材です。
19世紀半ばより作られてきた本材料は、実は最近の研究でナノおよびマイクロサイズのセルロースが上手く複合化した材料であることが分かってきました。ナノテクノロジーが発展することで新事実が分かってきた温故知新の材料であります。

イメージ写真:バルカナイズドファイバー

●バルカナイズドファイバーの製造、販売は北越東洋ファイバーにて行っています。

関連文献

  1. 根本純司, 福島彰太, 小林淳, 田川泉実, 齋藤継之, 磯貝明 “セルロースナノフィブリルで接着されたオールセルロース材料の解析” 紙パ技協誌, 72(9), 1042 (2018)
  2. 中俣恵一 “バルカナイズドファイバーの新たな展開 ─ ナノ・マイクロファイバーが融合したセルロース材料” 紙パルプ技術タイムス, 63(6), 15 (2020)

写真:国際学術雑誌「cellulose」

2022年3月発刊の国際学術雑誌「Cellulose」に弊社が執筆した論文が掲載されました。化学的に解繊されたCNFで強化された材料であるという新たな認識を、世界の研究者に向けて発信しました。

関連文献

  1. Nemoto, J., Nakamata, K. “All-cellulose material prepared using aqueous zinc chloride solution” Cellulose, 29, 2795 (2022)

炭素繊維との複合材料

鉄の1/4の軽さで10倍の強度ともいわれている炭素繊維と、オールセルロース材料を組み合わせることにより、従来にない特性を有する複合材料が生まれました。炭素繊維を少量配合させることで、強度を維持したまま軽量化でき、寸法変化も低減させることができました。従来品と同様に、塗装や曲げ加工もできます。CNFと炭素繊維という先端材料同士を融合させた新世代の材料であり、これまでには無かった新たな用途への展開も期待されています。

写真:炭素繊維、CNF、セルロース繊維が複合化された材料の電子顕微鏡写真(左)と製品例(右)
炭素繊維、CNF、セルロース繊維が複合化された材料の電子顕微鏡写真(左)と製品例(右)

CNFが注目を集めて以来、様々なCNF強化材料、複合材料が出てきており、基本的にCNFが強化繊維、強化フィラーの役割を果たしています。そのような中で、マイクロサイズのセルロース繊維が主体(強化)繊維、CNFが接着剤となった本オールセルロース材料はユニークであり、工業的に入手可能である点も大きな特徴であります。鉄ほどの強さは無いですが、紙よりも成形性に富み、今後も感性、環境、機能という3つの価値を備えた新しいコンセプトのバイオマス材料として期待できます。さらに、炭素繊維と複合化させることで、従来の欠点を補うことができる材料へと生まれ変わり、セルロース材料の新たな展開が期待されます。

●本材料は2021年度セルロース学会技術賞を受賞しています。

写真:2021年度セルロース学会技術賞

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